解放の日

 23日早朝。


 「苦しまずに死にたい」が最後の望みだった。多分、薬のおかげで苦しまずに逝けたと思う。せめてもの救い。


 昼過ぎに対面した遺体は安らかなで、穏やかな寝顔だった。病苦から解き放たれて、楽になった、いい顔。


 ただ、生きている間にもう一度話しをしておきたかった。行ける機会はあったのに、苦しむ祖父の姿を見たくなくて逃げていた。 今後悔しても、その機会は二度と無い。