お見舞い

 ばあちゃんは肺炎、じいちゃんは肺がん。二人とも、年末まで居た養護施設では対応できない状態になってしまったので、近所の病院に入院することになった。


 二人とも、不思議と、養護施設に居るときよりは元気だった。


 元気なばあちゃん、じいちゃんに会っても、特に何の感動もなく、嬉しさも、悲しさも、何の感情も浮いてこない。ただ、病院という場所への、居心地の悪さだけが感覚として感じられる。


 お金の話、お墓の話、叔父の家でいろいろな話。
 ウチの墓は今存在しない。先祖の骨は津軽海峡に散骨されている。じいちゃん本人も、それを望んでいる。

 
 でも、ほんとにお墓が必要なのは、そこに収まる本人ではなく、収まる人を偲びたい周りの家族なんだよね。