手術の日
息子はたんぽぽ園通園日。義母に送迎をお願いして自分は病院へ。
8時までにいらっしゃれば、手術前の奥様にお会いできますよ、と言われていた。7時半には病室に到着。やあ、元気そうだ。
9時には手術室に入っていただきます。9時半に手術開始、それまでに全身麻酔をかけます。はい、わかりました。行ってらっしゃい。手術は早ければ2時間、もしかしたら3時間くらいかかります。はい、よろしくお願いします先生。
待ち時間は長い。
10時前。
息子を通園バスまで送ってくれた義母が到着。姉の時はあれこれこうだったわよ、親戚のお嫁さんもそういえば乳がんだった、じいちゃんのがんも気づかれにくいがんだったからねえ。しかしお義母さん、身内にがんが多くて大変ですね。そおなのよ、だから息子も心配でこの前検診うけさせたのよ。大腸内視鏡でポリープとったのよ。早めにそういうの見つかって取れてよかったですね。
まだ11時前。
雑誌を読む俺。売店に買い物に行く義母。
11時半、やっと呼び出しが入る。
家族控え室、という場所に案内され、血まみれの手袋をつけた執刀医が小窓からいろいろ説明をしてくれる。まだあと2時間くらいかかります、と言われる。
11時45分。
わたしまってるから、あなたご飯食べてらっしゃいよ。いや、あまり食欲ないので。そんなこといって、まだ長くなるかもしれないんだから、しっかり食べてらっしゃいよ。そうですか、ではお言葉に甘えて。
12時。
あら、早かったわね。あそこのラーメンおいしかったですよ。
12時半。
じゃあ、私、孫を向かえに行くわね。はい、よろしくお願いします。
13時半。
再び呼び出し。またいろいろ説明を受ける。
切り取った肉塊を見せてもらう。結構大きい。200グラムのヒレステーキみたいな形。黒っぽい部分があったけど、それががんだったんだろうか。聞いて見ればよかった。
14時。
手術室を出た廊下で待つ。ここで待ってていいのだろうか。所在無い俺。いろいろな人が前をとおりすぎていく。主治医の先生が出てきた。こちらをちらと見る。会釈。
14時半。
手術室の前に二台おいてあったキャスターつきベッドの一台が手術室に運び込まれていく。ベッドの名札を確認。妻の名前。やっと出てくる。
14時40分。
ベッドが出てきた。妻が乗っかってる。険しい顔をしている。お疲れ様。すこしうなずく妻。ベッドを押す看護士さん。手伝っていいんだろうか。いや、かえって邪魔になるだろうし。やはり所在無い。
14時41分。
病室前。じゃ、あちらでお待ちください。はい、わかりました。何の役にも立たないし、むしろ邪魔っぽい俺。
14時50分。
待合ロビーでうとうとしてたらしい。気づいたら看護士さんに名前を呼ばれていた。病室に入る。妻にどういう術式説明を受けたか聞かれた。医者にされた説明の劣化コピーを俺の口から話してやる。大体納得。
15時
レントゲンとりますので、外でお待ちください。はい、よろしくお願いします。と、廊下に出された。廊下の向こうから、なにやら大掛かりな装置がころころキャスターつきで転がってきた。移動式のレントゲン装置、そんなものあるんだ。
16時
点滴、のこり半分くらい。塩化ナトリウム、ブドウ糖、大塚製薬、ああ、ポカリスエットだ。顔には酸素マスク、体のいろんなところから管が3本。おなかへった。消化器官は元気みたいだね。うん、でも飲んだり食べたりは明日からなのよね。食欲、無いよりはあったほうがいいよね。まぁ、そうね。
17時。
痛み出してきた、というので、痛み止めをお願いする。最初もってきた座薬を断り、筋肉注射にしてもらう。
18時。
じゃあ、俺かえるから。お休み。はい、おやすみなさい。
19時。
ただいま。どうでした?まぁ、ぼちぼちでした。
しかし、こういうときはなんと答えればいいのか、悩む。元気でしたよ、とか、大丈夫でしたよ、とかはいえない。
20時。
息子、義母、俺の3人、近所の世界一うまい中華料理屋で食事。相変わらず店の人は息子をかわいいと言ってくれる。息子もまんざらでもない。うれしそうだ。相変わらず、何を注文してもうまい。義母は、遅く帰ってくる義兄にお土産で2品お持ち帰り注文。
20時半。
今日は息子をありがとうございました。おやすみなさい。
21時。
息子就寝。