カギ

 朝食はバナナスコーンの予定だったが、キッチンにおいてあったバナナを見てみると・・・黒い棒状の物体が2本。えーっと、いつ買ったバナナだっけ。さすがにちょっとムリな感じでごみ箱に直行。今日がごみの日で助かった。仕方ないので、コンビ二パンを買いに行かせる。

 
 ハンカチ、ちり紙、、、忘れ物無いね、ほら、上履きも持って!
 今日は大丈夫、忘れ物なし。


 と、思っていたのだが、午後4時過ぎ、客先に向かう電車の中で、小学校からの電話が鳴る。


 「あの、小学校の担任ですが、、太郎君(仮名)、カギが無いそうで、学校に戻って来たんですよ」


 えっ!?
 今日はばあちゃんは用事があって来れないと言っていた。
 どうにもならないので、客先訪問は一緒に行っていた二人に任せて直帰。


 午後5時過ぎ頃、小学校の職員室に到着。
 職員室の先生方のすべての視線が集まってくる。
 「よかったね、お父さんきてくれたよ」


 「あのね、カギわすれちゃったの・・・」
 息子は済まなそうに言うが、確認を怠った父ちゃんが悪い。
 「とうちゃんまた会社行く?」
 「もうこんな時間だから行かないよ」
 親子の会話に職員室から注目と微笑み。悪気の無い笑いだが、やはり恥ずかしい。


 夕食は、にんじんしりしり、焼き餃子、納豆、たまねぎとジャガイモの味噌汁。
 餃子はパリっと行かずにシナっ、味噌汁は味噌を入れ過ぎ。
 ひどい出来だったが、息子はおいしいと食べてくれる。
 外で食べる方がいいか?と聞けば、うちで作ったほうがいい。と答える。
 なんとなく、ありがたい。