愛玩動物

 息子が今年4月まで通っていた、発達障害児の支援センター。
 今でも月に数回、親子同伴で「アフターケア」という名目で通わせていただいている。
 センターで息子のクラスメイトだった子供たちも、半分以上が普通の幼稚園や保育園に通っている。
 そしてやはり「アフターケア」で月数回、通っているらしい。


 たまには保護者(おかあさん)だけ呼び出される会があったりもする。そんな時は、帰りしなに集まったお母さん方何人かでお茶やお昼したりするという。そんな井戸端お茶会の時の話題である。


 A君は現在、普通の幼稚園に通っているのだが、なんだか幼稚園のクラスメイトがやたらとA君に触りたがるらしい。A君のママは結構それが嫌らしいのだが、「なんでさわってくるのかしら」とずっと謎だったそうだ。やたらと触ってくる、というのは、A君以外にも結構あったらしく、他のママもなんでかしらねぇ?と不思議がっていた。

 
 「それって、、こどもがどうぶつを触りたがるのと一緒じゃないのかな」


 とは妻の説。園児たちは、犬や猫に「いいこいいこ」をしてあげるような感覚でA君に触っているんじゃないだろうかと。井戸端お茶会では、その説に「なるほど」と感じたママさんたちは多かったらしい。園児たちはA君を「かわいがってあげて」いるのだ。
 一見、障害を抱えた子にやさしく接しているようで、実は「人間扱いをしていない」という正直さ。園児たちにまったく悪気はないだろうし、もちろん彼らに罪があるべくもない。


 触られるのが嫌なら、ちゃんと「何で触ってくるの?」と牽制したほうがいいよね、と、そのお茶会では結論が出たという。


 ところで、うちの息子は保育園で女の子たちにもてもてのようだ。近所の公園に行くときも、「私、○○君(息子の名前)と手つなぎたい!」と積極的に手を挙げてくれる女の子がいたり、自由遊びの時間では、「私たちが○○君と一緒にあそぶの!」と、女の子の派閥同士で争いになったりすることもあるらしい。そういや息子は髪の毛がくせっけでくりんくりん、シーズーあたりに似ているかもしれない。


 20年後にも同じように取り合ってくれればいいのだが。