長い一日

 今日は妻の診断結果が出る日。当然妻は病院に行かなければならないが、息子の発達センターたんぽぽ園こあら組通いも3日目、通い始めてから一ヶ月は付き添いが必要、とのことで、息子を発達センターに送りだした足で病院、というわけにはいかない。


 たんぽぽ園を休ませて息子は義母に預けるという手もあるが、なるべく高密度に通わせたい、と思っているので、本日は父親が会社を休み、付き添いをする。一度通っている姿を見ておきたい気持ちもあったのでいい機会だ。


 7月からは正式に通園となっているので、近所まで通園バスがむかえに来てくれるのがありがたい。公共交通機関を使えば、バスを2本乗り継ぐか、電車を3,4本乗り継ぐかしないとたどりつけず、時間も1時間以上はかかる。


 通園3日目の息子は結構偉かった。たんぽぽ園に着くなり自分のマークをつけたゲタ箱に自分の靴を入れたり、通園リュックに入っているひも付きタオルや洗面セットを、自分の場所にかける仕事もちゃんとこなす。見ていてなんだか嬉しい。


 たんぽぽ園の一日は、保育園や幼稚園とあまり変わらない、と、思う。普通の幼稚園、保育園のことは何十年も前のことしか知らないので正確にはわからないが、まずは朝の体操、集まり、出席とりの練習、〜遊び、給食、とカリキュラムは進んでいく。

 
 今日のお遊びは「えのぐ遊び」。
 大きな模造紙を床に置き、子供たちは思い思いに筆やローラーを取って塗りたくる。保育士さんたちに、「手や足も使ってみよう」と言われて、手形や足型もつけまくっている。当然服やズボンは絵の具まみれ。よごれてもよい服装で、といわれていたが、こういうことなのか。しかし、絵の具遊びやプレイルームで体を動かす遊びなどなど、いろいろ遊べて息子は楽しそうだ。


 お昼の給食、今日はスパゲッティーナポリタン。付き添いの親にも出される。息子は麺類が大好きなので、さぞや喜ぶだろう、と思っていたが、自分でかけた粉チーズが気に入らなかったらしく、あまり食が進まない。チーズかかってないのなら食べられるよね?と、保育士さんが新しいお皿を持ってきてくれた。なんだか申し訳ないが、今度はそれなりに食べてくれた。


 給食がおわったら、お片づけ、歯磨きを終えてお帰りのバスに乗る。一通り遊んで疲れた息子はバスの中ですやすや。つられて親父もすやすや。
 バスが家の近辺に着くのは14時頃。そろそろ診断結果を聞いた妻が先に戻ってるかな、と思ったが、我々の方が早かったらしい。家に入って30分くらいしてから、電話がかかってきた。


 なんだか電波状況が悪いのか、言ってることが聞き取りにくいが、「確定的」で、別の検査もしていた、とかで遅くなったらしい。昼飯も食ってないので、これから食いに行くとのこと。とりあえず車で迎えに行くことにする。病院付近につくころには、飯も食い終わってるだろう。


 妻を拾った車の中で話しを聞いたが、どうやらやはり乳がんは確定的。病巣のサイズ約17ミリ。リンパへの移転は認められず、進行がんではないとは思われるが、念のため骨や他の臓器への転移が無いかどうか、の検査を明日、別の病院でやるそうだ。その病院には、高機能のMRI機器があるらしい。


 乳がんが確定的になったので、息子の病院を二箇所いくとか、そういう状況ではなくなってしまった。妻としては、ほぼ確実にがんであり、息子の病院複数連れて行く、というのは無理になるだろうから、と思っていたのだそうだ。


 さて、後は骨などに転移が無いことを祈るのみ。転移があったら病巣切除手術の意味が無くなり、5年後生存率も大幅に下がることだろう。ジョナサンキッチンでの食事の帰り、当面の病院代として10万を手渡す。金で済むことならいくらでも出したい。